介護に関する劇薬本を読んでみた 〜 私の介護探検記⑤ 〜

介護をしていて悩むことはたくさんある。
今日はそれを少し書いてみる。

正しいことは何?

世の中のことを考えても、「事実と真実は違う!」「事実は小説よりも奇なり」とか、「言ってることはわかるけど、納得できない」

特に「言ってることはわかるけど・・・」と言うのは理屈としてはわかる気がするけれど、心にストンと落ちてこない、と言うこと。

介護については、そんなことがたくさんある。多分、情報が少ないことと、家庭によって、それぞれ状況が異なるためかもしれない。赤ちゃんだと、もちろん、病気や怪我、その子の特性によって違いはあるけれど、育児書もあり、育児の専門家も多く、情報は結構あるような気がする。
そして、成長して、ある日、育児から解放される日がくる。

★★★
しかし、介護については、実際に取り組んでいる人は、人に伝えるどころではなく、戦いの真っ最中。
企業で働いている人などは、なかなか会社の人に話せない。出世に響くからだ。
ネットの介護情報は介護事業を営む会社からの情報が多く、ちょっと信用できない気がする。実際に父を介護し、その後、母を介護して、ネットからはあまり正しい情報が取れないことがわかった。

介護の専門家って、どこにいるのかしら?

介護について、私が最初に得た情報は?

母から言われ、父が認知症ではないか、と感じたとき、私は、自分が昔買った本を思い出した。その本を買った頃、両親はとても元気だった。今も不思議なのだが、なぜその本を買ったのか?
それも通りすがりに立ち寄った本屋さんで、場所も武蔵小杉駅。私があまり行かないエリア。時間つぶしのために買った本だった。

本の名前は、『親の「ぼけ」に気づいたら』。著者は精神科医の斎藤正彦氏。
私はその本を引っ張り出し、奥付の横浜にある彼の勤務先(病院)に電話したところ、転職して今は埼玉県の病院の院長、とのこと。そちらに電話をし、父の診察を依頼する。

この本のこと、この時の経緯、斎藤先生のことは、皆さんにも少し参考になると思うので、あらためて書く予定。

これからは介護社会。どうなるの?

日本は超高齢化社会になると、ず〜〜〜〜っと前から言われていたのに、政府はあまり手を打てていない気がしている。

葉真中顕(はまなか あき)が介護社会の、「闇?」について書いた本『ロストケア』。
主人公の<彼>は、42人もの人間を殺害している。介護されていた人たちを殺害した罪で死刑判決。
しかし、彼に後悔はない。「全て予定通り。」と思っている。死刑を宣告されても微笑みさえ浮かべている。

★★★
作者は介護保険が導入されたことで、介護がビジネスになってしまった、と書いている。

小説の中で、介護施設を運営する会社に勤める佐久間が語る。
「介護保険は人助けのための制度じゃない。介護保険によって、人は二種類に分けられた。助かる者と助からない者だ。」
「今、日本社会は人類が経験したことのない高齢化に直面している。経済が停滞し、税収が増えない中で社会保障費は膨らんでいる。
こういった状況に対応するため、厚労省は・・・それまでごちゃ混ぜだった医学的な治療を主とする『医療』と、生活の介助を主とする『介護』を切り離し、社会保障の大義名分を得て国民から介護保険料を徴収する。そして・・・介護を市場原理によって自立させる。・・・老人福祉をビジネスとして民間にアウトソーシングすること。それが介護保険の役割だ。」

つまり、「福祉のアウトソーシングと、そのための財源としての介護保険」
「介護保険によって、介護はビジネス、資本の論理の上に乗せられた。それはつまり、助かるために金が必要になった。・・・この世で一番えげつない格差は老人の格差だ。・・・重すぎる介護の負担で家族を押しつぶす老人がいる。」

★★★
この小説は問題を豪直球で提示しているので、読み手には刺激が強い。

しかし私自身の経験でも、有料老人ホームでは、実費負担のサービスを利用しなければ、充実したきめ細かい良い介護を期待できないので、費用負担は相当重いと感じた。
高齢者が幸せに生き、人間的な最後を迎える未来図をどう描けばよいのか?国は介護ビジネス企業に丸投げしたまま、という気がする。個人としてはどこまで頑張れるのだろう?

『ロストケア』を読んでいて、なるほどと思う反面、背筋が寒くなった。
介護をするとはどういうことか? 介護し続ける覚悟とは?
我が子がわからなくなってしまった親を、子どもが介護し続けるとき、疎ましく思わないでいられるのか?

映画「PLAN75」で描かれた「75歳から安楽死を選択できる」という社会を自分たちは受け入れるのか、忌避するのか?
考えるべきことは沢山ある。

有力な相談相手は「包括支援センター」

劇薬的に暗い話になってしまったが、話を変えよう…と言うか元に戻そう。現実的な話に・・・。
介護に関する有力な相談相手は、包括支援センター。介護探検記➀でも書いたが、本当に頼りになる。

勘違いしている方も多いと思うが、家族が介護状態にならないときからでも相談可能。全国に5,400ヶ所以上あり、概ね中学校の学区に一つの割合で存在する。高齢者の暮らしを地域でサポートするために作られた拠点なので、介護保険の利用支援はもちろん、介護認定を受けていないときでも、高齢者の様々な困りごとや悩みについて対応してくれる。お金の管理に不安がある人には成年後見制度の利用を勧めたり、虐待にあっている高齢者がいれば家庭訪問をしたりもする。

ケアマネージャーや社会福祉士、保健師など、介護・医療・保健・福祉それぞれの専門知識をもった職員が在籍し、外部の専門機関とも連携しサポートしてくれる。本格的に介護が必要になる前から相談に行っておくといいかも。

包括支援センターの宣伝のようになってしまったが、私自身、ケアマネージャーの知識のなさに何年も悩まされた挙句に相談に行き、すぐ解決してもらった経験がある。本当に早くいけば良かったというのが実感。

くりくり

くりくり

祖父母、両親、兄に愛されて育った、家族大好きノーテンキおばさん。趣味は仕事。
日本酒、ワイン、牡蛎、餃子、北斎、写楽、陶器、こけし、映画、本、旅、アート、そして、人。とにかく好きなものが多すぎる。食べたいものが多すぎる。
好奇心が旺盛で、何にでも興味をもつ。集中力高く、調査能力に優れていて、情報収集能力にたけている。
大好きなモノ(者、物・・)には、すぐニコニコと寄っていく癖(ヘキ)あり。