かめさんの眼:中国「国恥地図」の謎を解く

本が好きだが、何冊か途中で読むのをやめてしまった本があります。新聞や雑誌の書評を頼りに選んでいましたが、本屋さんに行って選ぶのもいいかな?と思っております。

「国恥地図」という仰々しいタイトルにひかれて読んでしまいました。
国恥?私は、恥は個人的なもんだと思っていたが、中国では、私的な恥よりも公的な恥を意味するらしい。
中国には国恥記念日ってのもあった。日本が袁世凱に突きつけた21か条要求を受け入れた5月9日だそう。

★★★
中国が、日本をはじめ列強から奪い取られた土地が、国の恥だと称して、蒋介石が始めた地図。
さらに朝貢貿易で影響力があった国まで中国の土地であるという。樺太から、日本海を通り尖閣、沖縄を含め、台湾、ボルネオ島、マレー半島からミャンマー、ブータン、ネパール、アフガニスタン、中央アジアの国々モンゴルまでが、中国であるという地図。今の中華人民共和国の約2倍の面積。

そして、この地図の作成に日本人が関わった可能性に言及し、今の、尖閣、スプラトリー諸島、一帯一路などの原因の一端がうかがえる。半分くらいは一般的な地図制作の話だったが、それも面白かった。
この国恥地図を、1928年のキャンペーンをはじめ、1933年からは小学校の地理の教科書に載っているそう。それから90年近く、小中学校で教えている。教育とは恐ろしいもんだ。

その中国と仲良くしなければならないのは大変なことだけど、対話を続けていかねばならんのだろう。
私も中国のメーカーと多少の取引があるので、お互い信頼し、協調していこうと思う。

『中国「国恥地図」の謎を解く』 

譚璐美(たん・ろみ)
東京生まれ。作家。慶應義塾大学文学部卒業。元慶應義塾大学訪問教授。革命運動に参加し日本へ亡命後、早稲田大学に留学した中国人の父と日本人の母の間に生まれる。『中国共産党を作った13人』『阿片の中国史』『戦争前夜――魯迅、蒋介石の愛した日本』など著書多数。

かめさん

かめさん

創価大学卒業。学生時代演劇にはまり舞台監督を志す。しかし尊敬する師匠から、舞台監督になるには、まず照明を勉強するようアドバイスを受け、フリーランスとして舞台照明の仕事に携わる。
1985年、有限会社ライトアップを設立。演劇、ダンス、コンサート、イベント、格闘技などの照明を手掛ける。