PLAN75を見ました。長編初監督作となる早川千絵さんの脚本・監督です。
とにかく脚本がいいです。そして、主演の倍賞千恵子さんがいいです。表情、居住まい、視線、どれをとっても秀逸です。映画の中で歌う「リンゴの木の下で」も、彼女のリリカルな声がとてもいいです。どのシーンをとっても、主人公の生き方が見えてきます。
頭が痛くなるほど、様々なことを考えてしまいました。
80歳の倍賞千恵子さんが78歳の女性を演じます。一生懸命真面目に生きてきて、何とか頑張りたいと思うが、遂にはPLAN75を選択する。
しかし、そこから・・・
ストーリーは書きません。ぜひ、劇場に足を運んで鑑賞してほしいので。
最後に倍賞さんが夕日を眺めて、歩き出すシーンがいいです。
★★★
早川監督がインタビューに答えて、「自己責任論が幅をきかせている日本の社会において、社会的に弱い立場にいる人々への風当たりが強く、どんどん不寛容な社会になっていっていると感じていました。・・・生きづらい人に対して死の選択肢を差し出すような社会と、共に生きようと手を差し伸べる社会と、どちらに生きたいか。私は後者を望んでいます。」と。
倍賞さんをはじめ、友人のマキちゃん役の大方斐紗子さん、PLAN75の窓口担当役の磯村勇斗さんやコールセンターの成宮さんを演じる河合優実さん、出演者一人ひとりの生き方・姿勢がとても丁寧に描かれています。女性の監督だからなのか、会話ももちろんのこと、それだけではなく、部屋の描き方ひとつとっても、そこで暮らしている人の息遣いまで聞こえてきそうでした。
★★★
日本は、2025年には国民の5人に1人が75歳以上になります。この映画の状況は決して絵空事とは思えません。監督のおっしゃるように、介護施設の人が、被介護者を襲ったりするような情けない事件も起きています。
とても重いテーマですが、何度でも見たいと思いました。
友人と一緒に見たのですが、別の友人も今週末に見るとのことなので、3人で、この映画について語り合う夕べを持つ予定です。今から楽しみ。