香港探検!アートシーン

香港に約1年間滞在し、その間にさまざまな美術館や博物館、アートイベントを訪れる機会がありました。日本にいる時は、香港というと金融やビジネスの街という印象が強かったのですが、実際に暮らしてみると、文化や芸術に対する投資が非常に大きく、アジア有数の文化都市を本気で目指していることを感じました。無料で見られる展示が多いことにも驚かされました。

西九文化区はアートの中心

文化や芸術に対する投資が大きいなぁと強く感じたのは、西九文化区を中心とした文化施設の充実です。まず、香港故宮文化博物館。中国の長い歴史と文化を現代的な展示手法で紹介しており、貴重な収蔵品だけでなく、その見せ方の工夫にも感心しました。中国文化を単に保存するのではなく、世界へ発信しようという意志が感じられます。

一方、M+は現代アート、デザイン、建築、映像文化まで幅広く扱うアジア最大級の現代美術館です。欧米中心だった現代アートの流れの中で、アジアから新たな価値観を発信しようとする姿勢が印象的です。建物自体も魅力的で、香港の新しい文化の象徴のような存在だと思います。香港故宮文化博物館からM+までは徒歩10分程度。新旧のアートに触れられるチャンスです。どちらもハーバーの近くなので、景色も抜群。この辺りを散歩するだけで、のびのびとした気持ちになります。

香港芸術館も素晴らしい施設です。写真だけでは伝えきれないのですが、建物を見るだけでも、アートに触れる気がします。中国美術だけでなく、西洋美術や香港の作家の作品も展示されており、私が訪れた際にはモネや葛飾北斎の作品も鑑賞することができました。

日本では人気作品の前に多くの人が集まり、ゆっくり鑑賞することが難しいこともありますが、香港では比較的落ち着いた環境で作品と向き合うことができます。また、美術館からビクトリア・ハーバーを一望できる景観も素晴らしく、建物そのものが文化体験の一部になっています。

尖沙咀も。観光だけじゃない

続いて尖沙咀エリア。
最近訪れた香港歴史博物館でも強い印象を受けました。香港歴史博物館は九龍半島南端の尖沙咀にあります。この地域は伝統的な商業・観光の中心地ですが、アートの点でもすごいのです。展示内容はもちろんですが、映像や音響、再現展示などを効果的に活用し、香港の歴史を物語として体感できる構成になっています。

漁村時代から英国統治時代、そして国際都市へと発展していく過程が非常に分かりやすくまとめられており、大人も子どもも楽しみながら学べる内容でした。単に資料を並べるだけではなく、来館者に歴史を「体験」させる展示手法は非常にレベルが高いと感じました。私もVRを体験しました。長安の都の上空を飛びましたが、大きな都市だったことを本当に実感できました。馬車に乗って走ることも体験でき、怖いほどです。VRでゴーグルをつけているのですが、狂言回しのように登場した少年に私がボールを手渡すことから物語が展開し、情景が変わっていくのですが、それが、リアル感があって驚き!

Affordable Art Fairにも行ってみました

また、美術館や博物館だけでなく、Affordable Art Fairのようなアートイベントも活発です。Affordable Artとは、手ごろで買いやすい価格の芸術作品、ということなのですが、このフェアでも、世界中のギャラリーや若手アーティストの作品に気軽に触れることができます。アートを特別なものではなく、生活の中で楽しむ文化が根付いているように感じました。

こうして振り返ると、香港のアートシーンの魅力は、「東洋と西洋」「伝統と現代」「ローカルとグローバル」が自然に共存していることにあると思います。中国文化を大切にしながらも、国際都市として世界中の文化や価値観を受け入れ、それを独自の形で発信している。その姿勢は美術館や博物館の展示にもよく表れています。

帰国後に香港を思い出す時、夜景やグルメだけでなく、多様な文化とアートに触れた時間も、かけがえのない思い出として心に残り続けると思います。

また、香港の話題をお伝えしますね。

minan

minan

主人の会社の駐在に伴い、中国・北京で7年間暮らしました。その間に中国語や墨絵を学び、文化に触れる貴重な経験となりました。
現在は日本画をさらに深めるため芸大の先生に師事し、水彩画にも取り組んでいます。展示会にも挑戦しながら、表現の幅を広げています。

日々の暮らしではテニスにも励み、体を動かす楽しさを実感中です。
人生の総仕上げの時間を大切にしながら、絵を描き、美術館や展覧会を巡る日々を過ごしていきたいと思っています。