アマさんってご存じですか?住み込みの家事・育児ヘルパーさんのことを、香港ではそう呼びます。
「アマさん」のように住み込みで人を雇うことは、私たち日本人の一般庶民にはあまり馴染みがありません。
というより、そもそも住宅事情からしても無理ですよね。アマさん用のお部屋を準備しなくてはなりませんから。
娘が大学院に通う間、3歳と8か月の二人の孫を私一人で面倒みるのは大変と考え、香港の習慣に倣って、娘がアマさんを雇ってくれることになったのです。
幼い子どもが二人いる家庭は、香港では働くアマさんには敬遠されるようで、結局エージェントを通じてフィリピンから呼び寄せることになりました。
私にとっても初めての経験ですから、「一緒に生活できるのかしら・・・」 ちょっと不安もありました。
クリスさんがやってきた
Zoomでの面接を経て9月13日、我が家にやって来たのが、クリスさんです。
彼女は、47歳。フィリピン北部ウニオン州の出身で、大雨による洪水で自宅も大きな被害を受けたと聞きました。
16歳と14歳になる子どもたちの学費を得るために香港へ。
マカオやここ香港での勤務経験もあり、明るい性格で子ども好きとわかって、私もホッとしました。
わが家の二人の孫の面倒もよく見てくれています。
うっかり冷蔵庫からプリンや卵を落としてしまう、なんてこともあったりしますが、人柄が良く、安心して一緒に暮らせています。
写真は、幼稚園帰りにベンチで一休み。クリスさんと孫たちと穏やかなひととき。
公園で青空の下、孫たちと遊ぶクリスさんです。

お料理好き、そして、きれい好き
料理はフィリピンの人らしく味付けが少し濃いめですが、揚げ物はさすがの腕前。前の雇い主が中国人の家庭だったこともあって中華料理も得意です。
また、キッチンや部屋をきちんと整理整頓してくれるので、家の中がとても気持ちよく保たれています。
9月は私たちと一緒に食事をしていましたが、気を遣って量を盛りすぎてしまい、「太ってしまう」と笑いながら言われました。本人いわく、「自分のためには一日一食で十分。もちろん、家のためには三食きちんと作ります」とのこと。
10月からは、家族とクリスさんの食事は分けて、それぞれのペースに合わせる形に落ち着きました。

橋の下にテント?アマさんたちの週末
10月、最初のお給料を渡すときに、「日本人家庭は初めてで緊張したけれど、ここで良かったです」と言ってくれました。こちらこそ、本当に助かっています。
給料はさっそく家族へ送金したそう。祖国に子どもを残し、遠く離れた地で働く彼女の姿に、感謝の思いを新たにしています。
香港では多くの家庭がこのように外国人ヘルパーを雇い、その生活が支えられています。日本人にとってはまだ珍しい習慣ですが、ここでの暮らしを通じて、国境を越えた助け合いの形を実感しています。
★★★
日曜日に香港の街を歩いていると、アマさんたちの楽しそうな光景に出会います。
フィリピン人やインドネシア人のアマさんたちが、公園や橋の下、広場などに集まり、思い思いに食事をしたり歌を歌ったりして過ごしているのです。彼女たちにとっては週に一度の休息であり、同郷の仲間と語らう大切な時間。
橋の下でテントを張って休んでいる彼女たちの姿に、最初は私も、「これって、どうなのかなぁ?」と驚きましたが、遠い祖国から働きに来ている人々がこうして互いに支え合っている姿を、今では香港の街の一部として自然に受け止められるようになってきました。
それにしても、みんな生命力豊かで、一生懸命生きてるね!

下次見(シャースーチエン)!これは、中国で「またね」の意味です。
また、香港探検でお会いしましょう!