かめさんの眼:発明は改造する、人類を

2022年のお正月に読んだ本です。その年の1冊目。
あらためてご紹介。

帯からして、そそられる本です。
「改造する」と言うタイトルから、人類をサイボーグ化するのかと思って手に取ったが、予想外の展開。

原題は“The Alchemy of Us –- How Humans and Matter Transformed One Another”

人類が物質を変えただけではなく、物質が人類を変えることもある、との意味?
テクノロジーの変化によって、人の行動が変わる?
400ページを超える本。ぶ厚い。読みでアリ。

★★★
時計、鉄道、電信、写真、電球、ガラス、レコードからカセット、そしてハードディスク、電話の交換機から真空管、トランジスタ、シリコンチップ、AIまで、発明が人間に与えた影響について書かれている。
しかも、よくあるのは、発明の中心になった人に焦点を当てて書かれた本。
でも、これは違う。
偉大な発明には、歴史に名を残した人だけではなく、歴史に残らなかった多くの協力者や時には敵・ライバル?もいて、さらには、歴史的偶然や必然もあった。
つまり、数々の発明には、発明者の前に、多くの人の研究があったことも教えてくれる。電球?エジソン?しかし、エジソンにその発想を与えた人がいたことなどなど、

発明からの人間改造

新たな発明が私たちの生活習慣や考え方を次々と変えてしまうことの楽しさと怖さ。とにかく、このつながり、発明からの「人間改造」が面白い。

例えば、
時計の発明。暗くなったら寝る、から、時計に支配(?)されるような日々に。
便利にはなったが、時計に合わせて暮らす不自由さも・・・

鋼鉄の発明でレールができ、鉄道網も広がって移動は楽になったが・・・
それが、今、クリスマスのプレゼントに頭を悩ます原因になっているとは・・・

★★★
怖いことに、そのような急速な進歩に、私たちの体・心は追いついていけない。
ネットやAIの発達で脳もその影響を受け始めている。別の本で読んだのだが、紙の本と電子書籍、いずれも「読む」という行為だが、使う脳は違う、とか?
特にAIの発達で、もともとわれわれ自身の脳にあったワーキングメモリーがネットに置き換わる変化が起き始めているのではないのか?
ウィンドウズやアップルで働く親は、自分の子にはスマホを使わせないとか・・・

さあ、スマホのゲームを削除しよう。パソコンを閉じて本を読もう。旅に出よう。
どら焼き食べよう!皮だけのどら焼き

『発明は改造する、人類を』 

柏書房
アイニッサ・ラミレズ著者、安部 恵子訳
材料科学者。科学と人類の歴史・文化とのつながりを探求し、その知識をわかりやすく伝えることで人気のサイエンス・コミュニケーター。ブラウン大学とスタンフォード大学を卒業後、ベル研究所の研究員を経て、イエール大学とマサチューセッツ工科大学で教鞭をとる。

かめさん

かめさん

創価大学卒業。学生時代演劇にはまり舞台監督を志す。しかし尊敬する師匠から、舞台監督になるには、まず照明を勉強するようアドバイスを受け、フリーランスとして舞台照明の仕事に携わる。

1985年、有限会社ライトアップを設立。演劇、ダンス、コンサート、イベント、格闘技などの照明を手掛ける。